自立生活センターとは

経緯

かつて障害者を援けられるのは医者、OT、PT、カウンセラー等、専門家だけだと考えられてきました。しかし1972年カリフォルニア州バークレーに障害者が運営し、障害者にサービスを提供する‘’自立生活センター‘’が設立されました。自立生活センターが提供するサービスを利用することにより重度の障害があっても地域で自立して生活することが可能となりました。

自立生活センターのシステム

自立生活センターは運営委員の過半数と事業実施責任者が障害者であるという利用者のニーズが運営の基本となるシステムで動いています。

その理由は、能率や効率を重視するこの社会の中で忘れられがちな『ハンディを持つ人たちの権利』を組織の利益よりも優先させる方法として最も優れているからです。

重度の障害者が暮らしやすい社会は、誰にとっても暮らしやすいわけですが、その人たちが暮らすためには良いサービスがその地域に存在している必要があります。

しかし良いサービスは、黙っていたのではできません、その必要性のある人が行政に訴えていくこと(ニーズの顕在化)とそのサービスを提供できる事業体をわれわれ自身の手で作り上げる方法が近道です。そして、その事業体を行政が支援することが最も効率の良い方法です。

障害者自身がサービスの利用者から担い手に代わっていくことが最も良い社会サービスを提供していく最良の手段であることは明らかです。

事実、世界中で事業体としての自立生活センターがあり運動のあるところでは決まって『最上の社会サービス』が提供されています。

自立生活とは

自立生活とは何でしょう?

自分で立つこと?じゃなくて、自分で洋服をきたりトイレができること?それとも、自分で自分のご飯を食べるお金を稼ぐこと??誰にも頼らず、1人で生きていくこと???

いいえ、車イスを利用し移動したって、介助者をつかって服を着替えてもいいです。年金で生活するのも、必要なサービスを受給して地域で生活することもちゃんとした権利です。

1人で生きるなんてそもそも無理な話です。朝食べたパンの原材料の小麦は誰かがつくったものですし、電気をつかってパソコンがつかえるのは電力会社があるからです。

生まれたときから誰でも自分以外の人とかかわりながら生きています。

私たちが考える自立(生活)とは・・

1人の人間としての存在を認められることです。それは馬鹿にさされたり、いないものとして扱われるのでもなければ守るべき者やヒーローとされることでもありません。

自分の人生においてあらゆる事柄を選択し自分の人生をじぶんなりにいきていくことです。

自立生活とはどんなに重度の障害があっても、その人生において自ら選択することを最大限尊重されることです。選択をするためには選択肢の良い点・悪い点を知らされある程度経験も必要です。一部を選択したり全てを選択しないという選択もあります。

自立生活とは危険を冒す権利と決定したことに責任を負える人生の主体者であることを周りの人たちが認めること。また、哀れみてはなく福祉サーヒスの雇用者・消費者として援助を受けて生きていく権利を認めていくことです。

基本的には、施設や親の庇護の元での生活という不自由な形ではなく、ごく当たり前のことが当たり前にでき、その人が望む場所で、望むサービスを受け、普通の人生を暮らしていくことです。

<世界初の障害者情報誌『リハビリテーションギャゼット』より>
「自立(生活)とは、どこに住むか、いかに住むかか、どうやって自分の生活をまかなうかを選択する自由をいう。それは自分が選んだ地域で生活することであり、ルームメートを持つか、一人暮らしをするか自分で決めることであり、自分の生活=日々の暮らし、食べ物、娯楽、趣味、悪事、善行、友人等々=すべてを自分の決断と責任でやっていくことであり、危険を冒したり、誤ちを犯す自由であり、自立した生活をすることによって、自立生活を学ぶ自由でもある。」